【OB・OG活動事例報告】
「障がい者福祉における自立訓練(機能訓練)施設での活動報告」
丸山真一先生(研修生OB:湯沢トレーニングセンター勤務)
丸山先生の勤務先は整形外科・リハビリ科医院に併設された通所リハビリテーション施設(デイケア)です。
その施設・設備や、そこで行なっている訓練についてご紹介頂きました。
スタッフ5名のうち、機能訓練指導員として直接携わるスタッフは丸山先生1名のみで、利用者8名のトレーニングの個別メニュー立案、実施を担当されているそうです。
エアロバイク ミルキングアクション、手指の巧緻性トレーニングのための各種器具、パワープレート(3次元高速振動を生み出す加速度トレーニングマシン)、EMSなどなどの設備、器具を利用者の疾患・状態に合わせプログラムし、加えて、ストレッチやマッサージなど徒手療法も加えているとの事です。
機能訓練指導員はPT、OT以外にも、私達のような鍼灸マッサージ師も就ける業務、そこで利用者一人一人に向き合った仕事ができることに丸山先生はやりがいを感じているとの事でした。
「障がい者スポーツにおけるトレーナー活動報告」
竹下直人先生(研修生OB:竹下治療院開業)
竹下先生は研修生修了後、出張専業として開業しつつ、OBの廻谷滋先生の治療院にも非常勤で勤め、廻谷先生とさまざまな活動をともにし現在まで活動されてきたそうです。
その活動の中、廻谷先生との会話で障がい者スポーツトレーナーという資格があることを知り、縁あって盲人マラソン協会の強化合宿にボランティアとして参加できるようになった経緯などを発表されました。
合宿という現場の経験を積みながら日本陸上競技連盟認定トレーナーや、日本障がい者スポーツ協会公認障害者スポーツトレーナーの資格を取得したそうです。
選手の故障や愁訴は、健常者の長距離選手によくみられるシンスプリントや腸脛靭帯炎などに加え、ブラインドマラソンの特徴として伴走の際お互いにロープを掴んで走ることで掴んでいる側の肩甲骨周りの張りが強いとの訴えがとても多いとの事でした。
サポート内容としては、強化合宿に帯同しての鍼灸マッサージ治療に加え、練習時の給水や、合宿以外での週一回の早朝練習の伴走まで行っているとの事、ボランティアとはいえ徹底したサポートをされています。
2020年の東京パラリンピックに向けて、今後も可能な範囲でサポートできればとの事でした。
「体操選手から鍼灸教員へ」
西村静子先生(専攻生OG:国際鍼灸専門学校教員)
西村先生が体操を始め、鍼灸と出会い、筑波大で宮本先生と出会い、鍼灸を志し、そして教員になるまでの経緯をお話し頂きました。
小学1年時より体操を始められ、高校時には関東大会まで出場されたそうですが、高1の時に足関節を捻挫していたとの事。そのときは、数ヶ月歩くのも痛かったのが、たった一度の鍼治療で走れるまでに回復されたそうです。
筑波大学に進学されてからは、腰椎分離症などに悩まれたそうですが、トレーニングクリニックで宮本俊和先生の治療を受けるようになったとの事です。
そこが運命の出会いの一つだったそうで、様々な故障を宮本先生の手厚いケアもあって克服され、全日本インカレ4位など輝かしい成績を残されました。そして、宮本先生の姿に憧れ、鍼灸マッサージ師を志したそうです。
その後、我らが母校の専攻生、さらに東京衛生学園教育専攻科を経て、教員として学生に教鞭をとりつつ、日々臨床にも当たっているとの事です。
また、筑波大、鍼灸学校、理療科、教員養成科でそれぞれ研究活動もなされてきたとの事、それらは宮本先生や吉川先生が導いてくれたことも大きいと語られていました。
発表を聞いていて、西村先生の頑張っている姿をずっと見ていたからこそ、先生方が導いてくれたのではないかと思いました。最後に、教職以外にも、1児の母として日々奮闘されている姿を見せて頂けました。
【特別講演会】
「解剖生理学・顔学からの美顔はり」
土門奏先生(専攻生OG:土門治療院開業)
土門先生は当初は教員をしていたものの、開業鍼灸師としてもやって行きたいと思いが芽生え、育った地元で開業されました。
開業当初は美容鍼灸には全く興味もなかったそうですが、たまたま患者さんからのリクエストで美容鍼灸をやることになり、世間でなされていた色々な美容鍼灸の方法に疑問を持ったそうです。
なぜ、ほうれい線に鍼を打つのか? ほうれい線などのシワはなぜできるのか・・・? 疾患のメカニズムや、鍼灸の治効機序を考えずに施術しているように思えてならない方法に納得がいかず、多岐の方面から様々な文献を調べ、美顔のための方法を追求されてきたようです。
まさに我らが母校での臨床の考え方を忠実に守っている姿と思います。そして、ほうれい線などの大ジワに絶対針を打たないという、土門先生のオリジナルな方法が確立されたようです。
土門先生の発表内容は極めて論理的で、非常に頭に抵抗なく入ってくるものでした。あまりに濃すぎて、ここでは書ききれませんが、ぜひご興味のある方は土門先生のセミナー等に参加されたり、書籍を御一読されることをお勧め致します。
そして総会の後、毎々のように懇親会でも多くの方がそのまま参加され、発表された先生方や母校の濱田先生、恒松先生も御参席頂き、皆様大いに盛り上がるなかであっという間にお開きの時間となりました。
文責:事務局 矢野健太郎(研修生OB)