2/20、筑波大学理療科教員養成施設(小日向仮校舎)にて、第3回つくし会総会が行われました。以下、内容を記します。
◆特別講演会
佐々木公一 先生(東京医療福祉専門学校 講師)
演題:臨床に役立つ身体の使い方
「オステオパシー」を題材に講義を進めていただきました。数あるオステオパシーの中で「カウンターストレイン」というテクニックを中心に紹介していただきました。
聞き慣れない方もいるかと思いますが、筋肉が最も弛緩しているポジションを見つけ90秒静止(保持)するだけ、という方法です。90秒後にゆっくりと元にもどすと先ほどあった筋肉の緊張が激減しているのがわかります。(筆者は個人的に「カウンターストレイン」は、オステオパシーの中でも最も理解しやすく習得も早いテクニックだと思います。)
他にも、
・患者さんの立ち姿勢を見たあと、姿勢を微調整して数秒間力ませると首の痛みが消える
・立ち姿勢を微調整してあげると、地面に根が生えたようにがっしり立てる
・仰臥位で膝裏を圧迫すると誰でも痛いが、圧迫した時に反射的にとる姿勢に2秒間×2回負荷をかけ、再度圧迫すると今度は全く痛くない
という実演をしていただきました。こちらは「操体法」を利用した内容です。
どれも患者さんの体からの信号(メッセージ)を受け取る事が中心になります。一方的に治療をするのではなく、治ろうとする患者さんの力に手をそえるだけです。短時間で興味深い講義と、すぐに使える複数のテクニックを実演していただくという大変有意義な時間でした。
以前、先生には目の前でスプーンを曲げる(!!)離れ業を見せていただいた事があります。「こんなの練習すれば誰でもできるよ〜」と言われた事を思い出します。「オステオパシー」や「操体」の練習はもちろんスプーン曲げにも挑戦してはいかがでしょうか。
◆OB・OG活動報告
1.川上香先生「開業から今までを振り返って」
川崎で開業しておられる先生です。理療科研修生を終えた後の、開業し現在までの奮闘ぶり、様々な思いを語っていただきました。今後開業をめざしている人の参考になったと思います。
2.楠山寛子先生「アジアにおける鍼灸マッサージの状況 AMINでの活動報告」
「AMIN」という、アジアの視覚障害者を支援する活動の報告のお話でした。アジアの視覚障害者の現状、という知られざる状況を聞かせていただきました。家の外に出る事すら家族に許されていない視覚障害者が存在しているというショッキングな話や、生きて行く上でごく最低限の保証しかしてもらえていないという話もありました。残念ながら「AMIN」の活動は今年で終了だそうです。意義ある活動なので、何らかの形で継続できる事を願います。
3.並木康太先生「リハビリよもやま話」
鍼灸マッサージ師の資格を持ち、理療科で研修し、理学療法士の資格を取得し現在は理学療法士として活躍している先生です。リハビリの現場で理学療法士として働きつつも、鍼灸師からの視線で見る事も決して忘れていないありがたい存在です。判りやすいスライドのもとで、熱のこもった講義が展開されました。最後には「これからの医療現場には鍼灸師が絶対必要だ」という熱いメッセージをいただきました。
今回は前回の会に比べ発表者の時間にゆとりがあったおかげか、出席者とのやりとりも多くみられ非常に充実した内容となりました。やや出席者が少なかったのが非常に残念でした。関係者はもちろん、外部の方にも聞いてもらいたい内容なので今後ますます「つくし会」を発展させていく必要性を感じました。
総会の後は、お楽しみの懇親会です。元施設長の中野先生はじめ、養成施設ゆかりの先生方が駆けつけてくださり、楽しい一時を過ごすことができました。
次回のイベントは夏季の実技講習会、『つくし会 サマーセミナー2011』です。詳細が決定次第、発表いたしますので、どうぞお楽しみに!
文責 堀雅史