さて、13時半からの特別講演では、東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科助教の藤本英樹先生にお越し頂き、ご専門である「運動による酸化ストレスの変動と鍼通電刺激の影響」についてお話いただきました。
前半は、昨今、一般的にも話題に取り上げられることの少なくない、活性酸素や、酸化ストレス、抗酸化能力といった事について説明して頂きました。
また、持久性運動により抗酸化能力の増加、酸化ストレスの減少がみられる事などを説明して頂きました。
後半は、藤本先生の研究を主に発表して頂けました。
鍼通電刺激が酸化ストレス度と抗酸化能力に及ぼす影響を鍼通電刺激群とコントロール群で比較したところ、鍼群で抗酸化能力が有意に増加したという結果や、
運動直前での大腿鍼通電刺激群とコントロール群の比較をしたところ、運動直後の過酸化脂質(脂質ヒドロぺルオキシド)の減少、抗酸化能力の増加がみられたという結果などを発表して頂けました。
今後は、他の測定項目や運動負荷・様式、鍼の介入方法など検討を重ね、将来的にはスポーツコンディショニングやリハビリでの鍼の効果検証につなげてゆきたいというお言葉で、発表を締めくくられました。
その後も、活発な質疑がありましたが、丁寧にお応えくださりました。ありがとうございました。
特別講演後のOB・OG活動事例発表会では2名の発表が行われました。
1人目は原早苗先生の「あはきの世界に入って、患者さんと生徒さんとラットと過ごした12年間」というテーマでのお話でした。専門学校を卒業後養成施設に入り、学生・研修生・専攻生・非常勤講師とキャリアを積み重ね、それぞれの立場で患者さん・生徒さん方と接して来た中での経験談をお話頂きました。
さらに大学・大学院と進学し評価方法についての研究をされていた事、それまで経験の無かった基礎研究の分野でラットを数多く解剖していたエピソードなど、12年間の活動の中での苦労話、かけがえのない出会い、今後の展望などお話されました。
発表の内容とは関係ありませんが、先生が使用されていたpreziというプレゼン用ソフトは従来の見慣れたものと違い必要に応じてズームイン・ズームアウトを行えるなど画期的なもので興味深く、普段授業や研究発表をする機会の多い参加者からは使い方に関する質問も多数上がっていました。
2人目の発表は大内晃一先生が「枇杷葉温圧灸の効果」についてお話頂きました。温熱療法の効能、がん患者に対して行った治療効果、またご自身の身体に対して行った治療の経験談をお話されました。
大内先生は自宅で枇杷の木を栽培されているとの事で治療に適している葉の見分け方、収穫した葉の保存方法、市販されている棒灸の中で使いやすいものなどご紹介頂きすぐ臨床に使える技術をご披露頂きました。枇杷の葉に含まれているアミグダリンには浄血作用も含め多くの薬理作用があり、枇杷葉温圧灸は多くの疾患に有効とされており、このアミグダリンを含む食物を長寿郷の人々は摂取していることからも、食生活の影響も健康に大きく影響すると説明された。
その他にも世界三大長寿郷や、森下敬一博士率いる国際自然医学会の長寿郷調査団による中国の長寿郷(巴馬)の食生活や、自然放射能についての調査結果を紹介され、この調査は現地のテレビ局に取材されるなど大きな反響があったそうです。
現在、一般的に使われている処方薬は危険なものが多くそれが問題とされていない状況を訴え、それに代わる我々ができることを提供していきたいというお考えに共感致しました。
発表の後は恒例の懇親会でした。会場から近い神楽坂の路地裏にあるお店で行いました。近況報告・情報交換・開業相談など有意義なものであっという間に時間が過ぎおそらく参加者全員がまだまだ話し足りないといった状況でしたが、明日からの仕事に備えお開きとなりました。
つくし会では今後、Facebookやメールマガジン等で会員にとって有益であろう情報を発信していく予定です。皆様からのご意見等参考にさせて頂きますので何かございましたら是非お問い合わせください。
(文責 矢野・竹下)